パワフルになったエンジン
実際に公道試乗をして、最初にソフトトップモデルとの大きな違いとして感じたのがRFで採用になった2リッターエンジン。最高出力で27馬力、トルクで50N・mのアップと、数値的にはそんなに大きくはない印象なのですが、車重が1t強の軽量なロードスターにしてみれば、十分な違いになるのでしょう。ソフトトップモデルと比べるとかなり力強い加速性能を感じることができました。計算してみると、パワーウェイトレシオもソフトトップモデルが約7.6kg/psなのに対し、RFは約7kg/ps。その上、トルクもアップしているのでフィーリングの違いも納得です。
このエンジンについては、ロードスターユーザーの間でも賛否両論のようで、「面白くない」「退屈」などの声もあるようですが、これは完全に嗜好の問題かと思います。恐らく、NAやNBロードスターが好きな方は1.5Lエンジン、NCが好きな方にはこの2Lエンジンが向いているのではないでしょうか。ちなみに個人的には、1.5Lエンジンはあまりにも非力すぎると感じてしまったので、このRFの2Lエンジンという選択肢ができたのには拍手したいところです。
コーナリング性能、サスペンション、乗り心地など
今回試乗したのは、ちょっとしたアップダウンもあるワインディングだったのですが、RFのRSグレードはソフトトップ「S」グレードと比べると非常にしっかりした足周りで、カーブでも少ないロール量でグイグイ曲がっていく感じでした。ただ、ソフトトップ「S」グレードと比べると、かなり硬い足になっており、その分乗り心地や静粛性は相応に犠牲になっています。
今回のコースがお世辞にも綺麗な路面でないという事もありますが、走行中の振動はかなりのものです。後にご紹介する動画をご覧いただけると分かるかと思いますが、荒れたアスファルト上を走行している時には車載カメラのステーが振動してしまって、非常に耳障りなくらいでした。また、そういった状態ではルームミラーもビリビリと振動して、ミラーに写る景色がぼやけるくらいです。
これはルーフオープン時の方が剛性が落ちるためなのか顕著で、クローズ時は若干マシという感じです。CX-5の試乗記事に掲載の動画を見ていただけると、同じカメラ・ステーを使っているのでその違いが分かっていただけるかと思います。ただし、この話をディーラーさんでしたところ、他の「S」「VS」グレードではそんなことはないということで、この「RS」グレードは、高級な上位モデルという立ち位置ではなく、スポーティーさを求める方の為の別物という考え方がいいようです。
ロードスターRFの「RS」グレード総括
今回、ロードスターRFの試乗記事を書こうと思ったのですが、試乗してみたら「RS」グレードの試乗記事になってしまった感じです。ソフトトップ「S」グレードを初めて試乗した時のあの柔らかくてマシュマロのような足周りにも驚きましたが、この「RS」のその対極にあるような足周りにも「こんなに違うか!?」という衝撃を受けました。しかし、上記のように「S」「VS」では違うとのことなので、RFを語るには、3グレード全てを試乗してみないとダメなのかもしれません。
そんなわけで、ソフトトップの「S」の試乗とRFの「RS」しか試乗してない自分の印象を簡単に言うと、「馬は馬でもポニーと競走馬」という感じでしょうか。ソフトトップ「S」はほんわか癒し系で誰でも楽しく乗れる「ポニー」。乗っていて怖さはありませんし、難しいテクニックも必要ありません。(馬に乗ったことないので勝手な想像です。すみません。)
それに対し、RFの「RS」はサーキットなんかに持ち込んで走りたくなる競走馬タイプ。乗った感触からして、サーキット走行ではソフトトップ「S」に比べてかなりいいタイムが出ることは間違いないと思います。(競走馬も乗ったことないです。すみません。)ただし、日常使いでは気合入りすぎていて、私としてはちょっと肩が凝ってしまう感じです。ですので、RFを「どうせ買うなら高くて快適なモデル」と考えて買うと恐らく後悔します。普通に高級モデルが欲しいと思われる方は「VS」にしておきましょう。
ということで、「S」グレードのロードスター(RFの「S」と「VS」も?)と「RS」グレードのロードスターRFは、まったくの別物と考え、それぞれ乗られる方が試乗した上で好みに応じて購入検討されるのが良いと思われます。
ロードスターRF「RS」試乗動画
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。