マツダのCX-5などの次世代クリーンディーゼル車の投入により、市場で確固たる地位を築いたディーゼル車。燃料費が安くて、燃費も良くて、力強い。
そんな魅力いっぱいのディーゼル車ですが、燃料としている軽油は通常のガソリンとはちょっと違った注意が必要になります。ご存じない方は、ぜひこの記事を読んでくださいね。
ガソリンと軽油の違い
軽油はディーゼルエンジンを搭載した車などに使用される燃料となり、その性質はレギュラーガソリン、ハイオクガソリンなどとはかなり異なります。
主な性質の違いとして、ガソリンは原料となる石油を熱していった際の30℃から230℃の間で発生する蒸気を採取して作られ、軽油は140℃から380℃で発生する蒸気から採取されて作られます。したがって、ガソリンの方が揮発性が高く常温常圧でも良く燃えます。
それに対し、軽油はよく燃やすためにガソリンより高温高圧にしなければなりません。したがって、ガソリン用のエンジンと軽油用のディーゼルエンジンは根本的にエンジン構造が違います。したがって、ガソリンの代用燃料として軽油を使う事はできませんし、軽油の代用燃料としてガソリンを使う事もできません。
また、豆知識ですが、軽油はガソリンと間違わないように緑色に着色されています。ガソリンは赤系の色に着色されています。
軽油は凍ってしまう
寒さも厳しい真冬の真っ最中ですが、ディーゼル車オーナーが軽油の性質についてよく知らずに起きてしまうトラブルの代表がこの『凍結』です。
最近のディーゼル人気の影響で、車の知識がそれほどない方も当たり前のようにディーゼル車を買うようになりましたが、この軽油が凍結する可能性については意外と知られていません。
一番よくあるケースが、東京などの都市圏や温暖な地域から寒冷地のスキー場などへ行くケースです。寒冷地へウインタースポーツをするためなどで向かい、存分に楽しんだ後に車を動かそうとするとエンジンが始動しないというパターンです。
これは、軽油がガソリンよりも凍結する温度(凝固点)が高い事によります。ガソリンスタンドに行っても基本的に軽油は「軽油」としてしか表記されていないかと思いますが、実はJIS規格によって5種類の軽油が存在します。主に流動点の違いにより分類され、特1号が最も凍結しやすく、特3号が最も凍結しにくい寒冷地用となります。
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【軽油の種類/使用限界の目安温度】※1
・JIS特1号/+5℃
・JIS1号/-2.5℃
・JIS2号/-7.5℃
・JIS3号/-20℃
・JIS特3号/-30℃
※1 使用条件や環境により多少異なります。
したがって、都会で売っている寒冷地用で無い軽油を給油した状態で寒冷地に行き、-10度以下になるような日に車を停めて宿泊すると、翌朝には軽油が凍結してエンジンがかからないという状況になっている訳です。
これを防ぐために、温暖な地域から寒冷地に向かう時は、燃料タンクを満タンにせず寒冷地に到着した際に燃料タンクの残燃料が半分未満になるようにし、寒冷地のガソリンスタンドで寒冷地用の軽油を満タンに入れましょう。こうすることにより、軽油の凍結を防ぐ事ができます。
軽油とガソリンの入れ間違い
そして、軽油に関するトラブルとしてよくあるのがガソリンと軽油の入れ間違いです。レンタカーを借りた時などによくあるようですが、普段はガソリン車に乗っているのにレンタカーがディーゼル車だったり、その逆のパターンです。
いつもの調子で燃料を給油したら間違いだった、というパターンですね。(嘘みたいな本当の話で「軽自動車だから軽油でいいと思った」なんていうツワモノも時々いるようですが・・・)
ガソリンと軽油は燃焼性質も違いますが、比重も結構違います。軽油という名前とは逆に、軽油の方がガソリンより比重が重いんです。(ガソリン:0.73~0.76g/cm3、軽油:0.80~0.84g/cm3)
なので、どちらかというとガソリン車に誤まって軽油を給油してしまう方が大きな故障が起きやすくなります。軽油の方が比重が重いため、燃料タンクの底に沈んでしまう訳ですね。
よって、本来給油すべきガソリンよりも先にエンジンに近い場所に入り込んでしまい、気がつかずにエンジン始動しようものなら最悪エンジンが故障して使用不能になってしまいます。
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また、エンジン始動の前に気付いたとしても底に沈んでしまうため、完全な抜き取りが困難となります。ディーゼル車にガソリンを誤って給油した場合の方が、抜き取るべきガソリンが上に浮くので抜き取り安い訳ですね。
どちらにしても誤給油に気が付いた場合は、絶対にエンジンを始動せずに自動車ディーラーや整備工場で処置をしてもらいましょう。
なお、ガソリンスタンドの給油ノズルは、基本的に「レギュラーガソリン=赤色」「ハイオクガソリン=黄色」「軽油=緑色」となっていますので、それを覚えておくと間違いにくいかもしれませんね。
ガス欠厳禁!
最後にもう1つ。ディーゼルエンジンはガス欠厳禁です。
ガソリンエンジンの場合はガス欠しても給油すれば普通にエンジンが動きますが、ディーゼルエンジンはしっかりガス欠して空気が燃料タンクより先のパイプ、エンジン側に入ると給油をしてもエンジンがかからなくなってしまいます。
こうなってしまうと整備工場送りとなりますし、最悪エンジンを破損してしまう事もあるので、ディーゼル車のガス欠には気を付けてください。
以上、今回はよくありがちなディーゼル車(軽油)のトラブルについて書きました。ご存知で無かった方は、ぜひ気を付けてくださいね。
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。