マツダからクリーンディーゼルエンジン専用モデルとして発売され、これまで人気の高かった「CX-3」。今まで一貫してクリーンディーゼルエンジンの専売モデルとなっていましたが、この度ガソリンエンジンを搭載したモデルが2017年7月より追加発売となりました。
今回、このCX-3のガソリンエンジンモデルに試乗してきましたので、ガソリンとディーゼルの違い、どちらがおススメなのかを見てみたいと思います。試乗してきたモデルは「20S PROACIVE」。マツダの安全装備「i-ACTIVSENSE」の多くを標準で装備した、恐らく一番の売れ筋グレードです。
ガソリンエンジンモデルの第一印象
ガソリンエンジンのモデルに乗ってみてまず感じたのは、他のディーゼルエンジン搭載モデルと同様にガソリンエンジンモデルの軽さ感。CX-3はディーゼルモデルで1,270kg、ガソリンモデルで1,240kgと30kgしか違わず、CX-5のガソリンとディーゼルのモデルほどの重量差はありません。それでも、恐らくエンジン重量の差がほとんどの為、フロント部分が軽く感じます。
画像は、実際のガソリンエンジンなのですが、ディーゼルと比べるとエンジンルームのスペースに結構隙間があります。ディーゼルモデルのエンジンルームを見た事のある方であれば、結構違うという事がお分かりかと思います。
また、ディーゼルモデルと比べると、若干ロール量が多い、重心が高い、足が柔らかいというようなどれともつかないような感覚を受けました。これも、少なからず車重が軽い事に起因しているような気がします。
エンジンの具体的なスペック差は?
従来発売されていたディーゼルエンジンの主要スペックは1,500cc/105ps/27.5kgf・mという値でしたが、今回のガソリンエンジンは、2,000cc/148ps/19.6kgf・mと、排気量と最高出力がともに大きく変わっています。最大トルクは排気量が小さくともさすがディーゼル、8kgf・mもガソリンエンジンを上回ります。
しかし、1,500ccのディーゼルエンジンはデミオでもそうだったように、非常に出力がマイルドでCX-5のディーゼルエンジン程の力強さを感じにくいので、ディーゼルモデルと比べてトルク不足を感じることはあまりありませんでした。むしろ、ガソリンエンジンの方が軽快感があって個人的には好みです。
落ち着いて実用的なインテリア
インテリアは、ブラックと落ち着いたレッドのレザー調のツートーンカラー。ステアリングなどは本革素材ですが、シートやドアパネルなどはレザー調ではあるものの合皮となっています。ただ、この合皮の質感が高く、パッと見では本革と言っても分からないくらいで高級感があります。
その他、従来モデルと同様のマツダコネクトやナビ等を操作するためのコンソール類やドリンクホルダーなどが備えられていますが、構造は比較的質素。しかし、小物入れでありながら、500ccの紙パックドリンクも入るスペースなどは非常に使い勝手が良いと感じました。自分の場合は、紙パックドリンクを買いたくてもドリンクホルダーの制限により我慢を強いられている事が多いので、これは助かります(笑)
果たしてディーゼルとガソリンどちらがおススメなのか!?
それでは、ディーゼルモデルとガソリンモデルのどちらが一般的にはおススメなのでしょう。ガソリンの20SとディーゼルのXD、それぞれのPROACTIVEグレード同士で比べると、20Sにはレーダークルーズおよびスマートブレーキが標準で装備されていません。これをオプション装着して、主な機能面を同条件にすると、20Sが約237万円、XDが260万円と約23万円の差額となります。
また、燃費面ではJC08モードで20Sが17km/L、XDが23km/LとXDにかなりのアドバンテージがあります。ただし、軽油を100円、ガソリンを125円くらいと仮定した時に、燃料費で車両の価格差を埋めるには7万6千kmほど走らないとなりません。
それだけなら、まあ現実的に可能だと思いますが、ディーゼルのオイルの価格は通常のオイルの1.5倍程度することや実燃費も考慮に入れると、実際には最低でも10万km程度は走って初めて燃料費で元が取れるといったところでしょうか。また、ディーゼルのクリーニングによる燃費損失も少なからずあります。
以上を踏まえて考えると、コストの面では10万km程度は確実に数年で乗ってしまう方や一度に長距離を走る方はディーゼルモデルがおススメ、長い期間同じ車を乗らない方や比較的短距離の走行が多い方はガソリンモデルがおススメと言えるかと思います。
また、コスト以外の面では高速での安定性やトルクの太さ、ディーゼルマニアな方は言わずともディーゼルモデル、ハンドリングやエンジンフィールを求める方はガソリンモデルがよろしいかと思います。
そして、まだどうなるか分かりませんが、先日発表されたSKYACTIV Xエンジンが、もし今後搭載されるようなことがあれば、より万人におススメできるモデルはガソリンエンジンモデルになるかもしれませんね。
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。