2017年9月に発売となった、ホンダの新型シビック タイプR。地元のディーラーを通りかかったら、偶然展示車と思しき新型シビック タイプRがあったので見させてもらいました。
残念ながら通常の車両のような試乗は不可、しかもこの直後に他店に移動しなければならないという事で、今回はわずかな時間の中でのエクステリアの写真撮影にとどまってしまいましたが、その中で感じた事をお伝えしたいと思います。
10代目シビックをベースとしたタイプR
今回のシビック タイプRは、先月2017年9月末に発売された新型シビックをベースに作られたホットモデル。2015年に日本未投入の9代目シビックをベースとして作られた5代目タイプRに続く、タイプRとしては6代目のモデルとなります。
なお、前回の5代目タイプRが750台限定だったのに対し、今回の6代目タイプRは台数制限無しのカタログモデルとなります。価格は車両本体価格で約450万円。過去に「大衆車」イメージで売ってきたシビックというモデルからするとかなり高額で、世間からも「もうシビックとは言えない」というような声も多く聞かれます。
新しい「R」はとっても立派なサイズ
さて、そんな新型のシビック タイプRですが、第一印象は「サイズ的にとても立派」。それもそのはず、 サイズ(全長×全幅×全高)は4560×1875×1435mmとミドルサイズセダンと比べても遜色ないサイズです。
先代のタイプRも4390×1880×1460mmというサイズだったので、それと比べると全幅はむしろ小さくなったくらいですが、それでも1.9mに近い全幅があると、全高は1435mmとスポーツカーとしてはたいして低い全高ではないものの、かなりのロー&ワイドに見えます。
エンジンスペックやクラス的に国産車でガチンコライバルであろうスバルのWRX STIと比べても、全幅が8cmも大きいのはかなりものものです。ちなみにベース車両となる新型シビック ハッチバックのサイズは、4520×1800×1435mmとなっています。
スポンサーリンク
とにかくパッと見に派手
今回の展示車両はホンダスポーツモデルでは伝統と言ってもよい「チャンピオンシップホワイト」のボディカラーでしたが、それに対するエアロパーツの黒や赤が非常に目立ちます。ただ、この派手さが個人的には悪い意味での派手さに感じてしまいました。
遠くで見るとまだしも、近くで見るととにかく素材に高級感が無いんですよね。サイドスカートをはじめとするカーボン調の樹脂パーツなど、カーマニアの中では定番のカーボン調シート「ダイノックシート」をDIYで貼ったかのような質感。本当に申し訳ないのですが、それが正直な感想です。
更にそういった部分にこの昭和的ロボットもののような全体のデザインも相まって、全体的におもちゃのような質感に感じてしまう訳です。個人的にメーカー公式画像を見る限りは、ホワイト以外のダーク系ボディカラーの方がこのチープさが隠れていいような気がします。
そして、ノーマルのセダンの方が落ち着いていてよほど洗練されたスポーティーさがある気がしてしまうのは自分だけでしょうか・・・。ベースモデルはメーカーの宣材を見る限り、どちらかと言えばカッコいい部類の気がするのですが、スペシャルモデルのタイプRがこれ!?という感じです。
インテリアも派手
続いてインテリアですが、こちらも結構派手です。ありとあらゆる所に定番の赤のステッチや加飾が施され、シートはこれまた赤くて派手な専用バケットシートが装着されています。ただし、ナビ周りをはじめとするコンソールは、今時の車と比べるととても地味で古臭さすら感じさせます。
ただし、こういったホットモデルの割にパッケージングとしての実用性はなかなかだと感じました。フォトギャラリーの画像をご覧いただきたいのですが、後部座席は恐らく大人が二人乗っても十分なスペースが確保されています。また、ベースモデル譲りのトランク積載スペースも日常用途では十分な容量を備えています。
とは言え、500万円クラスの車としては内装の質感もあまりにプラスチック感、安い布感がすごいので、もう少し価格に見合った素材は使って欲しかったですね。
果たしてどんなユーザーが買うのか?
以上、かなり辛口なインプレッションでしたが、自分が思ったままのことを書かせていただきました。そして、この車を見てもう1つ思ったのが「これ、どんな人が買うんだ?」という疑問です。
恐らく値引きもないであろうこの車、乗り出し価格は余裕で500万円オーバーになる可能性が高いと思われますが、そうなると一般的な購買層は恐らく若くても30~40代、しかも相当熱心なホンダファンに限定されるかと思います。でも、その年代にとってこのデザインはいくらなんでもイタい・・・。自分は恥ずかしくて女の子に見せるのは無理です(笑)
また、性能的な部分だけ見ても、恐らく車のスペック的にはライバルとなるルノーのメガーヌRSの方がコスパ高いですし、シビックは性能だけで買う車でも無いと思うのです。中古で500万円の予算があれば、もっと高級でもっと速い車が買えますし。
ただ、きっとホンダもそんな事は当然分かった上でホンダブランドの象徴として販売したんだろうな、とは思います。海外生産の出来あいをただ輸入してるだけなので、日本法人としては生産・在庫リスクも通常モデルみたいに気にしなくていいでしょうしね。
ともあれ、エコだ燃費だと言ってデザインもスペックもクソみたいな車ばかりの今の日本国内でこんなモデルを発売したことは、車好きにとって賞賛するに値する事かもしれません。
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。