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新たな燃費測定モード「WLTC」とは? マツダはCX-3で認可取得

マツダ CX-3 マシーングレープレミアムメタリック(撮影:筒木猛)

© 2017 筒木 猛(Takeshi Tsutsuki)

少し前から、現在の「JC08モード」に代わる新しい燃費測定モードとしてチラホラ名前を見かけるようになった「WLTC」。以前主流だった「10・15モード」から、より実際の燃費に近づくということで「JC08モード」切り替わり、今回は更に現実的な走行状況に近いと言われる「WLTC」。では、「WLTC」とはどんなものなのでしょうか?

「WLTC」ってどういうもの?

早速、「WLTC」とはどんな燃費測定方法なのかを調べてみました。今後導入される予定の「WLTC」は、「WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)」という試験方法に準じたものとなります。

「WLTP」は、国際的に整合した標準試験方法を定めることにより、現在は各国や地域が独自に設定している排出ガス・燃費の試験サイクル・試験方法が統一され、自動車メーカーは一度の試験で複数の国・地域での認証に必要なデータが取得可能となることが期待されているとのこと。

その「WLTP」は、市街地走行を模した「Low」、郊外路に相当する「Medium」、制限速度の低い高速道路に相当する「High」、世界の一般的な高速道路相当の「Extra High」の4種類のサイクルを測定します。しかも、「WLTP」は全てのサイクルを暖気してない状態で実施し、それらを踏まえてトータルの燃費値を算出します。

今回、日本で導入される「WLTC」は、道路環境の実情に合わせ最高速度131.3km/hのExtra Highを除く3モードで試験を行いますが、それ以外の試験条件は「WLTP」に準じているようです。

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「WLTC」と「JC08」で差は出るのか?

では、現在用いられている「JC08」モードと「WLTC」ではどんな差が出るのでしょうか。「JC08」は、JC08モードは測定に当たり発進から市街地想定のテストから高速想定のテストまでを1サイクルとして算出していたため、1サイクルでトータル燃費が出るようになっていました。

それに対し、「WLTC」は3サイクルを独立して行うため、走行シーンに応じた燃費をより正確に算出できると思われます。また、「JC08」との違いとして走行の平均速度が最大で50%程度アップされてます。

測定トータルで冷間発進が1回しかなかった「JC08」に対し、3回ある「WLTC」の方が燃費結果は悪化することが予想されますが、その分、測定速度が上がっているためにトータルでは「JC08」とそれほど大きな差が出る事はないようです。

ただし「WLTC」は、「JC08」と違い低中高それぞれの測定が独立なされているため、3つの燃費値が公開されれば、ユーザーの走行環境により近い燃費の判定ができるようになるでしょう。

マツダは早速「CX-3」で認可取得。「WLTC」で得する車、損する車は?

そんな中、マツダは他のメーカーにさきがけ(2017年6月29日現在)、この「WLTC」認可を同社の小型SUV「CX-3」に新たにラインアップされるガソリンエンジンモデルで取得しました。

マツダのような内燃機関オンリーの車の場合、今回の「WLTC」でも「JC08」に比べて大きく乖離した数値にはならないと思われます。実際、FFモデルがJC08モード燃費17km/リットルに対し、WLTCが16km/リットル。4駆モデルがそれぞれ16.2km/リットル、15.2km/リットルと燃費値の差は10%以下になっているようです。冷間スタートが多くなる分若干不利なだけって感じですね。

では、影響を大きく受ける可能性がある車種はどんな車種でしょうか。どんな車もトータルの燃費ではそれほど大きな差は出ないとされていますが、低中高のそれぞれのサイクルで見ると、大きな差が出る車種がありそうな気がします。

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例えば、トヨタを代表するハイブリッドのようなモデル。車に詳しくない多くの世間の方々はとにかくトータルで燃費がいいと思いこんでいる方が思いかと思いますが、HVモデルというのは、市街地走行などの日本固有とも言える低速走行が極端に多い環境に特化した燃費スペシャリストです。

したがって、低速モードでは「JC08」モードより燃費を大きく上げる可能性もありますが、逆に高速モードでは、燃費を大きく落とす可能性があります。意外とHV車の高速走行時の燃費ってヘタをすると普通の車並なんですよね。

「WLTC」なら、よりユーザー環境に応じた判断ができる

上記のような理由により、「WLTC」で3サイクルそれぞれの内訳が明示されるようになれば、ユーザーの走行環境に応じた燃費に有利な車選びができそうです。近所のスーパーに買い物行くだけのチョイ乗りオンリーの奥さまなら、低速走行のみの「Low」の燃費を見ればいいですし、逆に商用で高速・遠距離走行が多ければ「High」をメインに見ればいいわけです。

実際に3モードの結果をメーカーが公表するかは分かりませんが、速度域別の燃費データが分かれば、少なくともユーザーは数字だけのメーカー間の燃費競争に巻き込まれず、正しい車選びの参考にできそうですね。

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