7月6日、フランスのマクロン政権が2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表したのに続き、今度はイギリスの環境相マイケル・ゴーブも大気汚染対策としてEV(電気自動車)やハイブリッド車への切り替えを進めるために2040年以降、ディーゼル車とガソリン車の販売を禁止する見通しとなりました。
2040年までにガソリン車・ディーゼル車が販売禁止に
今のところ本当に実現できるかどうかはともかくとして、先日フランスでは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表しました。そして、それに続き、イギリスもそれに追随する形となりました。さらに英タイムズ紙によると、イギリスはハイブリッド車の販売までも終了する方針だというのです。
2040年といえば、あと20年ちょっと先の話です。しかし、今から20年前の1997年と言えば、ちょうど初代プリウスが発売された年。その当時、ハイブリッド車などというものは世間では一般的ではありませんでしたし、そんな車が20年後に日本中にあふれかえるなどという状況を誰もが予想していたわけではありません。
しかし、20年という期間でガソリン車とディーゼル車を販売禁止にするには、それよりももっと大きな変化が必要だと思うのです。EVを作る技術は既に十分なレベルに達しています。しかし、今までEVが普及しなかったのは、主にコストやインフラの問題であり、したがってそれらを後20年ほどで解決しなければならないということです。はたしてそれらの課題は解決されるのでしょうか。
電気自動車にしたら、本当にエコなのか?
そして、改めて考えてみたいのが、EVは本当に環境負荷が低いのかという事です。日本でここまでハイブリッド車が普及した理由を考えてみたいのですが、本当に地球環境(エコ)の事を考えてハイブリッド車に乗っている人がどれだけいるのでしょうか。
実際のところは地球環境の為になどと考えている人は本当に極々限られた人であり、実際は燃料費が安くなるという餌に釣られている人がほとんどかと思います。
また、電気自動車が太陽光発電や回生エネルギーだけで駆動電力を賄えるのであれば、環境負荷という点でもかなり効果はあるかと思います。しかし、現実的には電力は発電所で発電された電気によって充電されています。
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日本の発電所の発電方式は、現在ほとんどが火力発電に依存しています。東日本大震災以降、原子力発電反対の流れによりそうなりました。したがって、車そのものが二酸化炭素排出をしなくなっても、その分は電力会社の発電にかなり転嫁されるわけです。
また、今までの内燃機関の車では必要でなかった大量の充電バッテリも必要となります。バッテリが大量に生産される事になれば、スケールメリットも出て現在は割高感のあるEVも随分下がるかと思います。しかし、今度はそれによりバッテリ製造に必要なリチウムやその代替素材の必要量が急激に増加します。
そういった変化による環境負荷はきちんと計算されているのでしょうか。全く考えていないなどという事はあるわけないのですが、それでも現状ではトータルでの環境負荷増減について明確にされている資料は恐らくないかと思われます。
EV化がみんなの幸せにつながるとは限らない
また、世界的にEV化の波が押し寄せた時に困る人たちも多くいるはずです。単純に思いつくのが、世界で原油生産を主としている産油国です。世界中の全車両がEV化などということになったら、それは一大事です。
今回の件はあくまでも内燃機関を使った新車販売の禁止であり、既存車両を乗ってはいけないということではないので、移行はある程度緩やかだとは思います。しかし、産油国にとっては見逃せない事態である事は確かかと思います。産油国というとアラブ諸国をイメージする方が多いかと思いますが、世界のアメリカだって大きな産油国です。
それらの国々はそうやすやすと脱化石燃料を認めるわけはありません。また、我々のような一般人にも影響がないことはないでしょう。救済措置で当面ガソリン車の利用も認められるでしょうが、以降は税負荷をかけられたりすることは容易に考えられますし、買い替え費用も大きな負担となります。
果たして、これらの課題をフランスやイギリスがどのようにクリアしていくつもりなのか、興味深く見守っていきたいと思います。
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。