昨年2017年末に発売になったマツダの3列シートSUV「CX-8」。ミニバン市場から撤退したマツダが満を持して送り出したポストミニバン、果たしてどんな車になっているのでしょうか。
今回は「マツダCX-8 XD L Package」の「試乗編」。試乗動画や当サイトで以前より協力いただいている写真家の筒木猛さんのカッコいい画像もありますので、ぜひご覧ください。
力強いエンジン
カートリビアの過去の試乗記事をご覧いただいている皆さんならご存知(?)のいつものワインディングへ今回も試乗しに行ってきました。自分がいつも使っているこの試乗コースはちょっと長めのストレートやタイトコーナーあり、アップダウンもあり、と短い距離でかなり車の特性が分かりやすいコースだと思っています。
今回のCXー8は、どちらかというとゆったり乗るタイプかとは思いますが、それでも前回のCX-5試乗との比較という意味でも同じコースを走ってみました。
まず発進して最初に感じたのが、エンジンの力強さ。エンジンそのものはCX-5と同型なものの、CX-5の175ps/420N・mから190ps/450N・mに高められたことにより200kg以上も重量増したとは思えない加速感があります。停止状態からの発進時が特に顕著でグイグイ加速していきます。
パワーウェイトレシオではCX-5が勝っているにもかかわらず、むしろCX-8の方がゼロ発進時は力強さがあるように感じるくらい。フィーリングもディーゼルエンジンながらガソリンエンジンっぽさがあります。
ただ、これが60~70km/hあたりの中速域以降になってくると、アクセル開度は発進時そのままで結構開いた状態なのに、フッとその力強さや加速感が抜けるような感じがあります。フィーリング的に意図的な制御をしているような感もあるので、やはりファミリーカーというポジションから万人向けの落ち着いた制御にしているといったところでしょうか。
それなりに感じてしまう重量感
そしてちょっとタイト目のコーナーで感じてしまうのが、サイズ拡大による重量感。本来はポストミニバンのファミリーカーとして真っすぐな道やロングドライブ等に主眼が置かれている車だと思うので、ワインディングで色々言うのは申し訳ない気がしますが、やはりボディ拡大によるネガ要素は少なからず感じてしまいます。
まず、今回の試乗で一番感じたのが、ロール量。恐らく全高が数cmでも高くなったこと、そしてインテリアや室内空間のレイアウト変更により全体の重量増のみならず、車体の上部重量が重くなり重心が高くなってしまった影響なのかな、という印象です。
また、CX-5に対してピッチング量も増した気がします。波打っているような路面でボヨンボヨンと車体が上下に揺れ始めると、それが収まるタイミングがCX-5よりワンテンポ遅い気がします。個人的には全高の高いちょっと大きめなワンボックスやミニバンっぽいこの動きが少し気になりました。
静粛性やハンドリングは?
静粛性に関しては、文句のつけようが無いかと思います。動画をご覧いただければお分かりになるかと思いますが、本当に静かです。エンジンが動いている状態で車外にいればそれなりにディーゼルエンジンっぽい音も感じますが、車内にいるとそれがほとんど感じられなくなります。
また、ハンドリングに関してもベクタリングコントロールの恩恵もあってか、とてもマイルドで運転しやすくなっています。今回は山道での試乗のため、ベクタリングコントロールの恩恵よりも上記のロールやピッチの印象が強くなってしまいましたが、高速巡航等ではむしろこういった点がプラス方向に出るかと思います。
CX-8はどんな人向き?
今回の試乗をもって思った「CX-8」の最適なターゲットは、やはり世間でも言われている通り「ファミリーカーでもカッコよさや走りを捨てたくない」層だと改めて思いました。
ファミリーカーとして考えたら、ミニバンなんて比較にならないカッコよさがありますし、それでいて実用性は十分。スライドドアでないという一点に関しては奥様方から不満が出ることは容易に想像できますが、それでも「ファミリーユース不可」というレベルでは無いかと思います。
走りに関しては、従来の背の高いミニバンタイプとCX-5の中間といったところです。やはりサイズ拡大や重量増加の影響でCX-5のガソリンモデルほどキビキビとは走れませんが、背の高いミニバンと比べれば、はるかにドライバビリティに優れています。
「CX-8」は誰が乗っても大きな不満が出ない、360度全方位に優等生なファミリーカーと言えるのではないでしょうか。気になっている方は、ぜひディーラーで試乗してご自分の目で肌で「CX-8」を感じてみてくださいね。
カートリビア YouTubeチャンネル「マツダCX-8 試乗・インプレッション」
CX-8「フォトギャラリー」
車の中でもスーパーカーを筆頭にスポーツ系や輸入車が特に大好きで、欲しいクルマは数え切れず。残りの人生であとどれくらいの数の車に乗れるだろうかと考えると、色々と悩みが尽きません・・・。