東京モーターショー2017でも展示され、いよいよ店舗にも実車配備がされ始めたマツダの新型SUV「CX-8」。その「CX-8」をじっくり観察&試乗してきたので、3回程度に分けてインプレを掲載してみたい。
CX-5とのデザインの違い
乗り味の差は、本来ならプラットフォームのベースになったCX-9と比較すべきなのだろうが、日本では販売されていない。よって、姿形が似ているCX-5との比較にならざるを得ない。まずはデザインから。
フロントグリルの内側が、逆スラントした高輝度メッシュ(これは年次改良でバイオエンプラ製になることが発表されたばかり)と、横桟基調の違いだけなのに、CX-8のほうがワイドに見える。サイドビューの印象は、伸びやかなCX-8を見た後だと、CX-5が随分と小さく縮まって感じられる。同じデザイナー、同じデザインモチーフなのに、キャンバスのサイズはかくも影響がある。
面の造型はCX-5同様見事。サイド面、特にフロントフェンダーからリアドアへ伸びて融けこむラインと、それをリアフェンダーの力感としつつ始まるリアのショルダーラインはSUVらしい力強さと、洗練された動きが同居していて特に好きなところ。
サイドシルの微妙なくびれは、長く引いていることもあって、CX-5ほどの妖艶さはなく、スッキリしている。むしろソリッドな感じ。まだ実車を未見なのだが、ソウルレッド・クリスタルのような華やかな色は似合わないかもしれない。個人的にはマシーングレーがイチ推し。
落ち着いてよいインテリアだが、一部には不満も
内装はCX-5とCX-9のパーツを巧く組み合わせて構築した感じ。インパネはCX-5と基本的に同じ。シフトからセンターコンソールはCX-9と同形状。ただ、加飾パネルなどが異なるため、落ち着きが増している。ピラーや天井が黒いから余計にそう感じるのかも。
加飾パネルは特にL-Package のそれは質感が高く、シフト周りのピアノブラックとの相性もいい。難癖を付けるならば、マツコネのモニタがCX-5同様インパネのボリュームに負けていて貧相に見えること。ひと回り大きいサイズ、もしくは縦長(ナビは絶対に見易いはず)に出来なかったか。
グローブボックスも小さい。というか、取扱説明書が多過ぎる。プレマシーはグローブボックスの奥に棚もあって、そこに取扱説明書やティッシュボックスが入れられた。こういう工夫が感じられないのは残念。それでも、C-HRのように開けば遥か助手席の足元ってことはなく、位置的には使いやすい。
クラスに見合ったデキの良いシート
シートはあくまで写真比較だが、CX-9と同等と思われる。想定している体格がアメリカ人なので、サイズ不足はまず考えられない。三列目でさえ、きちんと肩までホールドしてくれる。身体が楽なのはもちろん、ヘッドレストがきちんと頭を支えてくれるので、万が一おカマを掘られたとき、頸椎へのダメージ軽減になることも大きい。
フロントシートは特に高さ方向の調整幅が大きい。パワーシート(運転席はXD PROACTIVE、同L-Packageに標準。助手席はL-Packageに標準)、手動調整共にしっくりくる高さに合わせやすい。また、単純な上下ではなく、ペダル位置を支点に斜め前方向に移動するので、ペダル位置を合わせてからでも高さが決めやすいのも美点。これはロードスターを除くマツダ車全てに共通する。
ただし、余程背の高い人でない限り、一番下にすることはないはず。自分の身長(178cm日本人体型)で、半分くらい上げてちょうど良かった。因みに、一番上まで上げても頭上に余裕はたっぷりあるし、ハンドルの調整幅が追い付かないこともなく、メーターの視認性やスイッチ類の操作も問題ない。CX-8に限らず、シート位置は(乗り降りに支障がない限り)高めのほうが、視界が確保出来、挙動も掴みやく、運転しやすい。
ついでに言うと、腿裏はきちんとシートに重さを預けられないとダメ。腰だけで体重を支えるのは疲労に直結する。座面の長さが足りないフロントシートを平気で着けているクルマは、ほかのところも当然のように手抜きだらけだから買ってはいけません。更に、背もたれの角度、前後位置も超重要。話が長くなり過ぎるので、詳しくはマツダのお店で訊いてほしい。
次回「インテリア編その2」続く・・・
車とぶどうをこよなく愛する男。その異常とも言えるほどの愛の深さ故、その愛がしばしば毒に変わることも。愛車はNAロードスター。